AIを産業界に根付かせるためには
日本の産業界はまだまだアナログ志向が強く、先進国の中ではIT化が遅れています。その状況に焦りを感じている政府も、最近になってようやくロードマップを描き始めました。その象徴が、人工知能技術戦略会議です。同会議ではAIの開発目標と産業化のためのロードマップが提言され、理想の将来像が描かれています。このロードマップは分かりやすい構成になっており、大きく3つの段階に分けられています。具体的には、第1段階が「全ての業界でAI活用が進む」、第2段階が「業界の垣根を越えたAI活用が進み、新産業が生まれてくる」、第3段階が「業界同士の融合が複雑化し、大きなエコシステムが出来上がる」というものです。かなり野心的な目標だと思われるかもしれませんが、既に海外ではこれくらいの目標はどこに行っても目にすることができます。それほど日本のIT化は遅れているのです。さて、AIを使いこなす立場である産業界の人間にとっては、AIの本質を一から学んでおくことは欠かせません。そもそもAIの技術のベースでさえ日本人には馴染みが無いのかもしれませんから、ここで簡単に説明したいと思います。AIの技術は次の3つに支えられています。1つは半導体アーキテクチャ、2つ目はビッグデータ、3つ目は情報処理です。情報処理については首肯する人も多いでしょうが、半導体アーキテクチャ、ビッグデータについてはよく知らない人もいるでしょう。半導体アーキテクチャは、半導体の設計論理を指します。つまりCPUをより集積化し、より高速化するためのモデルです。近年はGPUの行列演算やAIチップが普及したことで、AIを導入できる機器が急増しています。